口演童話「ぽかぽか森のピンクのベンチ」
ぽかぽか森にはピンクのベンチがありました。キツネの親子がやってきました。
「母さん、手が寒いよ」
「母さんのポケットに手を入れてごらん」
母さんは手をぎゅっと握ってくれました。そうしたら手の中に小さな太陽が生まれたみたいで、手がぽかぽか暖かくなってきました。わたしは思わずもう片方も入れました。
「まるで小さな太陽をふたつ握っているみたい」
そう母さんがいいました。わたしは大きな太陽につつまれているようで幸せでした。
今度は渡り鳥の親子がやってきました。
「これから長い旅になるぞ」
目の前の大きな海を見ながら、大丈夫かなあと心配になりました。すると父さんが言いました。
「後ろを見てご覧。あそこから飛んできたんだよ」
それはそれは大きな山で雪が積もっていました。山のてっぺんは雲を突き抜けていました。なんだか飛ぶ力が湧いてきました。父さんの言葉には力がありました。
気がついたときは、もう君が目の前にいた。朝起きると「おはよう」だけ言って、あとは続かなかった。ぼくたちは近いようでいつも遠くにいた。いつかぽかぽか森のピンクのベンチに二人でこしかけて、今まで溜まっていたものを全部話したかった。
でもいざとなったら、ぼくは何も話せなくなるかもしれない。
ある日、ベンチを見ると君が座っていた。まるでぼくを待っているかのような君。
「お待ちしていました。恥ずかしがり屋さん」
「お互いずいぶん年を取ったね」
「わたしは、おばあちゃん」
「ぼくは、おじいちゃん」
「ねえ、ダンスをしない?」
「いい考えだね」
二人のからだはふわりと浮いて、地面に降り立ちました。そして、ベンチの脚をくるくる回りながらダンスをしました。やがて二人は風に飛ばされ、どこかへ行ってしまいました。
参考:口演童話「ぽかぽか森のピンクのベンチ」
口演童話
ぽかぽか森にはピンクのベンチがありました。キツネの親子がやってきました。
「母さん、手が寒いよ」
「母さんのポケットに手を入れてごらん」
母さんは手をぎゅっと握ってくれました。そうしたら手の中に小さな太陽が生まれたみたいで、手がぽかぽか暖かくなってきました。わたしは思わずもう片方も入れました。
「まるで小さな太陽をふたつ握っているみたい」
そう母さんがいいました。わたしは大きな太陽につつまれているようで幸せでした。
今度は渡り鳥の親子がやってきました。
「これから長い旅になるぞ」
目の前の大きな海を見ながら、大丈夫かなあと心配になりました。すると父さんが言いました。
「後ろを見てご覧。あそこから飛んできたんだよ」
それはそれは大きな山で雪が積もっていました。山のてっぺんは雲を突き抜けていました。なんだか飛ぶ力が湧いてきました。父さんの言葉には力がありました。
気がついたときは、もう君が目の前にいた。朝起きると「おはよう」だけ言って、あとは続かなかった。ぼくたちは近いようでいつも遠くにいた。いつかぽかぽか森のピンクのベンチに二人でこしかけて、今まで溜まっていたものを全部話したかった。
でもいざとなったら、ぼくは何も話せなくなるかもしれない。
ある日、ベンチを見ると君が座っていた。まるでぼくを待っているかのような君。
「お待ちしていました。恥ずかしがり屋さん」
「お互いずいぶん年を取ったね」
「わたしは、おばあちゃん」
「ぼくは、おじいちゃん」
「ねえ、ダンスをしない?」
「いい考えだね」
二人のからだはふわりと浮いて、地面に降り立ちました。そして、ベンチの脚をくるくる回りながらダンスをしました。やがて二人は風に飛ばされ、どこかへ行ってしまいました。
参考:口演童話「ぽかぽか森のピンクのベンチ」
口演童話