語「りす君の誕生日」
りす君の誕生日パーティは、みんなでケーキを作り、大盛り上がり!
りすのチロは、今日は何だかつまらない一日だと思っていました。だって、誰とも約束がなく、遊ぶ相手がいなかったのです。森にどんぐりを拾いに行っても、ひとつも見つけることが出来ませんでした。チロは、家に帰ることにしました。
チロの家は、高い椎の木の中ほどにありました。
「ただいま」
チロは一人で住んでいましたが、帰ってきたら、いつもそう言うのです。
部屋には、テーブルと冷蔵庫がありました。壁には、花の絵が飾られていました。いつもの風景です。でも、今日は少し様子が違います。誰かが隠れているような気がしました。
「誰かいるの?」
そのとき、コトリと何か音がしました。冷蔵庫の裏からです。
「冷蔵庫の裏に隠れているのは誰?」
「ぼくだよ」
それは、犬のロンでした。ロンは、コックさんの服を着ていました。
するとまた、トトトンと音がしました。部屋の角にある木の実入れのかごからでした。
「かごの後ろに、誰か隠れているの?」
「わたしよ」
それは、こぶたのピーちゃんでした。ピーちゃんもコックさんの服を着ていました。
すると今度は、ギトトンと音がしました。テーブルの下からでした。
「テーブルの下に誰かいるの?」
テーブルクロスをめくって、わにのハンブラーが出てきました。出てくるときに、大きな口がテーブルの脚に当たり、ハンブラーは少し照れ笑いをしました。ハンブラーもコックさんの格好をしていて、手にはフライパンを持っていました。
「みんな、どうしたんだい。今日は約束していなかったのに。それに、三人ともコックさんの服なんか着て」
わにのハンブラーが言いました。
「ここに来ているのは、俺たち三人だけじゃないんだ」
「えっ、まだ、誰かいるの?」
すると、壁に掛けてある絵の裏から、うさぎのビギーが出てきました。
「やあ、こんにちは、チロ」
ビギーもコックさんの格好をしていました。
「俺たちが、何していたかわかるかい?」と、ハンブラーが言いました。
「いいもの作っていたんだよ」と、ロンが言いました。
「ピーちゃん、あれ出して」と、ビギーが言いました。
ピーちゃんは、かごの後ろに隠してあったケーキを出してきて、テーブルの上に置きました。
「これを見ればわかるでしょう」と、ピーちゃんが言いました。
「わっ、おいしそうなケーキ。イチゴに囲まれて、ぼくの大好きなどんぐりが、真ん中にある。栗の実もいっぱいだ。みんなが作ったの?」
「そうよ。チロ君のために」と、ピーちゃんが言いました。
「えっ!?」
「だってそうだろう。今日は、チロの誕生日なんだから」と、ハンブラーが言いました。
「み、みんな、ぼくの誕生日覚えていてくれたの?」
「忘れるもんか」
ハンブラーがそう言ったとき、長い尻尾がテーブルの脚を引っ掛けました。テーブルが傾き、ケーキが滑りました。そのとき、ロンがケーキに飛びつき、床に落ちる寸前にキャッチしました。
「セーフ!」と、ロンは言いながら、ゆっくり立ち上がりました。
ロンのヘッドスライディングが、危機一髪ケーキを救いました。ロンは、ケーキをテーブルに置きなおすと、言葉を続けました。
「今日、チロと遊ぶ約束しなかったのは、みんなでチロを驚かそうと思って」
「今のヘッドスライディングで十分驚いたけど、・・。でも、みんな、本当にありがとう」
そのときでした。誰かが、ドアをトントンとたたきました。
「誰か来たみたい。ちょっとぼく見てくる」
チロが、ドアを開けると、そこに立っていたのは、ねずみのミッチでした。
「チロ君、お誕生日おめでとう」
ミッチは、部屋に入るやいなや、手に持っていたクラッカーのひもを引っ張りました。
ぱーん!
その音に驚いていると、今度は開いているドアから、かばのフランクおじさんが入ってきました。
「やあ、チロ、お誕生日おめでとう」
フランクおじさんも、入ってくるやいなや両手に持っていたクラッカー鳴らしました。
ぱん、ぱーん!
今度は、クラッカーの中の紙吹雪や紙テープが床に落ちないうちに、象のエレックが入ってきました。両手と鼻にクラッカーを持っていました。
ぱん、ぱん、ぱーん!!
小さなチロの家は、みんなが押し寄せたために、その分広がりました。
「ぼくは、誕生日パーティの盛り上げ隊でーす」と、ミッチが言いました。
「わしも、盛り上げ隊だ」と、フランクおじさんが言いました。
「私も、盛り上げ隊です」と、エレックが言いました。
「みんな、本当にありがとう。みんなは最高の友達だ」
本当にチロにとっては、みんなは最高にすばらしい友達でした。
「チロの誕生日の次は、このエレック様だからね。体が大きいので、みんな、もっと大きなケーキを頼むよ」
時間が止まったように、みんな顔を見合わせました。
次の瞬間、
「あっはっはっは、・・。わっはっはっは・・」
みんな大笑い、大盛り上がりのチロの誕生日でした。
(パネルシアター「りす君の誕生日」の原作です)
参考:物語「りす君の誕生日」
りすのパンやさん
ミミィ (著), ミーヤン (著)
りすのパンやさんはひょうばんのおいしいお店です。きょうもパンはすぐに売り切れ。ところが、お店の前でおなかをすかせたぞうさんが倒れていたからさあ大変! ぞうさんのためのパンを焼くには、粉が足りなくて…。
大型本
出版社: 学習研究社 (2007/03)
商品パッケージの寸法: 23.6 x 21.4 x 1.4 cm
口演童話
りす君の誕生日パーティは、みんなでケーキを作り、大盛り上がり!
りすのチロは、今日は何だかつまらない一日だと思っていました。だって、誰とも約束がなく、遊ぶ相手がいなかったのです。森にどんぐりを拾いに行っても、ひとつも見つけることが出来ませんでした。チロは、家に帰ることにしました。
チロの家は、高い椎の木の中ほどにありました。
「ただいま」
チロは一人で住んでいましたが、帰ってきたら、いつもそう言うのです。
部屋には、テーブルと冷蔵庫がありました。壁には、花の絵が飾られていました。いつもの風景です。でも、今日は少し様子が違います。誰かが隠れているような気がしました。
「誰かいるの?」
そのとき、コトリと何か音がしました。冷蔵庫の裏からです。
「冷蔵庫の裏に隠れているのは誰?」
「ぼくだよ」
それは、犬のロンでした。ロンは、コックさんの服を着ていました。
するとまた、トトトンと音がしました。部屋の角にある木の実入れのかごからでした。
「かごの後ろに、誰か隠れているの?」
「わたしよ」
それは、こぶたのピーちゃんでした。ピーちゃんもコックさんの服を着ていました。
すると今度は、ギトトンと音がしました。テーブルの下からでした。
「テーブルの下に誰かいるの?」
テーブルクロスをめくって、わにのハンブラーが出てきました。出てくるときに、大きな口がテーブルの脚に当たり、ハンブラーは少し照れ笑いをしました。ハンブラーもコックさんの格好をしていて、手にはフライパンを持っていました。
「みんな、どうしたんだい。今日は約束していなかったのに。それに、三人ともコックさんの服なんか着て」
わにのハンブラーが言いました。
「ここに来ているのは、俺たち三人だけじゃないんだ」
「えっ、まだ、誰かいるの?」
すると、壁に掛けてある絵の裏から、うさぎのビギーが出てきました。
「やあ、こんにちは、チロ」
ビギーもコックさんの格好をしていました。
「俺たちが、何していたかわかるかい?」と、ハンブラーが言いました。
「いいもの作っていたんだよ」と、ロンが言いました。
「ピーちゃん、あれ出して」と、ビギーが言いました。
ピーちゃんは、かごの後ろに隠してあったケーキを出してきて、テーブルの上に置きました。
「これを見ればわかるでしょう」と、ピーちゃんが言いました。
「わっ、おいしそうなケーキ。イチゴに囲まれて、ぼくの大好きなどんぐりが、真ん中にある。栗の実もいっぱいだ。みんなが作ったの?」
「そうよ。チロ君のために」と、ピーちゃんが言いました。
「えっ!?」
「だってそうだろう。今日は、チロの誕生日なんだから」と、ハンブラーが言いました。
「み、みんな、ぼくの誕生日覚えていてくれたの?」
「忘れるもんか」
ハンブラーがそう言ったとき、長い尻尾がテーブルの脚を引っ掛けました。テーブルが傾き、ケーキが滑りました。そのとき、ロンがケーキに飛びつき、床に落ちる寸前にキャッチしました。
「セーフ!」と、ロンは言いながら、ゆっくり立ち上がりました。
ロンのヘッドスライディングが、危機一髪ケーキを救いました。ロンは、ケーキをテーブルに置きなおすと、言葉を続けました。
「今日、チロと遊ぶ約束しなかったのは、みんなでチロを驚かそうと思って」
「今のヘッドスライディングで十分驚いたけど、・・。でも、みんな、本当にありがとう」
そのときでした。誰かが、ドアをトントンとたたきました。
「誰か来たみたい。ちょっとぼく見てくる」
チロが、ドアを開けると、そこに立っていたのは、ねずみのミッチでした。
「チロ君、お誕生日おめでとう」
ミッチは、部屋に入るやいなや、手に持っていたクラッカーのひもを引っ張りました。
ぱーん!
その音に驚いていると、今度は開いているドアから、かばのフランクおじさんが入ってきました。
「やあ、チロ、お誕生日おめでとう」
フランクおじさんも、入ってくるやいなや両手に持っていたクラッカー鳴らしました。
ぱん、ぱーん!
今度は、クラッカーの中の紙吹雪や紙テープが床に落ちないうちに、象のエレックが入ってきました。両手と鼻にクラッカーを持っていました。
ぱん、ぱん、ぱーん!!
小さなチロの家は、みんなが押し寄せたために、その分広がりました。
「ぼくは、誕生日パーティの盛り上げ隊でーす」と、ミッチが言いました。
「わしも、盛り上げ隊だ」と、フランクおじさんが言いました。
「私も、盛り上げ隊です」と、エレックが言いました。
「みんな、本当にありがとう。みんなは最高の友達だ」
本当にチロにとっては、みんなは最高にすばらしい友達でした。
「チロの誕生日の次は、このエレック様だからね。体が大きいので、みんな、もっと大きなケーキを頼むよ」
時間が止まったように、みんな顔を見合わせました。
次の瞬間、
「あっはっはっは、・・。わっはっはっは・・」
みんな大笑い、大盛り上がりのチロの誕生日でした。
(パネルシアター「りす君の誕生日」の原作です)
参考:物語「りす君の誕生日」
りすのパンやさん
ミミィ (著), ミーヤン (著)
りすのパンやさんはひょうばんのおいしいお店です。きょうもパンはすぐに売り切れ。ところが、お店の前でおなかをすかせたぞうさんが倒れていたからさあ大変! ぞうさんのためのパンを焼くには、粉が足りなくて…。
大型本
出版社: 学習研究社 (2007/03)
商品パッケージの寸法: 23.6 x 21.4 x 1.4 cm
口演童話