童話「番犬」
近所であった話しです。
一人暮らしのおばあさんが、番犬のための犬を飼っていました。
誰か来ると、犬はほえて知らせてくれるので、大変助かっていました。
また、物騒な世の中なので、犬がいるだけでも強盗は警戒します。
そんな犬とおばあさんは、とても仲良く暮らしていて、
番犬というよりも、おばあさんにとって犬は家族同然でした。
ところが、隣に住んでいる住人は、犬が大嫌いです。
犬がほえると、「うるさい!」と言って、どなってきます。
おばあさんは、自分が年寄りなもので、
犬がいてくれると助かることを説明しますが、わかってもらえません。
おばあさんが買い物に出かけているときに、
となりの住人は、嫌がらせで犬にゴミを投げつけることもあります。
おばあさんが帰ってきたら、庭にはゴミが散乱しているのですぐわかります。
となりの住人は、おばあさんを見かけると、「犬をよそにやれ!」と言います。
おばあさんも言い返すようになりましたが、たとえ口喧嘩でも、
おばあさんは、喧嘩なんかしたくないと思っていました。
だんだんお互いの関係が悪くなっていくので、警察に相談しました。
しかし、近所のことだからとなんとか話し合いで解決してほしいとのこと。
おばあさんは、これ以上となりとの関係を悪くしたくないので、
庭で犬を飼うことをやめて、家の中で飼うことにしました。
そとの物音に気がつき犬がほえても、外には小さな声しか聞こえません。
となりの住人は、犬の姿は見えないし、声も小さくなって満足でした。
それでも、となりの住人は、してやったりというような顔をするだけで、
その後も、ずっとお互いの関係は悪くなったままでした。
おばあさんが犬を家の中で飼いだして、一週間ぐらいしてのこと、
となりの家に警官がやって来ました。
帰りがけに、おばあさんはそっと警官に「どうしたのか?」と聞きました。
すると、「となりに泥棒が入って、被害にあった」ということでした。
おばあさんは、それを聞いて恐くなりました。
泥棒や強盗がやって来てはと思い、また犬を庭で飼うことにしました。
でも、となりの住人からは、犬がうるさいとは言ってこなくなりました。
自分の嫌がっていた犬が、実はおばあさんの家の番犬ばかりか、
自分の家の番犬にもなっていたことがわかったからです。
参考動画:口演童話「番犬」
ガード下の犬ラン―ホームレスとさみしさを分かち合った犬
関 朝之 (著), はせがわ いさお (イラスト)
東京都墨田区、いつものガード下で、今日もなけなしのごはんを分けあう1人と1匹。しかし、ある晩とんでもないことが起こったのです。「ホームレス狩り」-後に人々はその事件をそう呼ぶようになりました…。
単行本: 143ページ
出版社: ハート出版 (2003/2/2)
商品パッケージの寸法: 21.2 x 2 x 15.2 cm
口演童話
近所であった話しです。
一人暮らしのおばあさんが、番犬のための犬を飼っていました。
誰か来ると、犬はほえて知らせてくれるので、大変助かっていました。
また、物騒な世の中なので、犬がいるだけでも強盗は警戒します。
そんな犬とおばあさんは、とても仲良く暮らしていて、
番犬というよりも、おばあさんにとって犬は家族同然でした。
ところが、隣に住んでいる住人は、犬が大嫌いです。
犬がほえると、「うるさい!」と言って、どなってきます。
おばあさんは、自分が年寄りなもので、
犬がいてくれると助かることを説明しますが、わかってもらえません。
おばあさんが買い物に出かけているときに、
となりの住人は、嫌がらせで犬にゴミを投げつけることもあります。
おばあさんが帰ってきたら、庭にはゴミが散乱しているのですぐわかります。
となりの住人は、おばあさんを見かけると、「犬をよそにやれ!」と言います。
おばあさんも言い返すようになりましたが、たとえ口喧嘩でも、
おばあさんは、喧嘩なんかしたくないと思っていました。
だんだんお互いの関係が悪くなっていくので、警察に相談しました。
しかし、近所のことだからとなんとか話し合いで解決してほしいとのこと。
おばあさんは、これ以上となりとの関係を悪くしたくないので、
庭で犬を飼うことをやめて、家の中で飼うことにしました。
そとの物音に気がつき犬がほえても、外には小さな声しか聞こえません。
となりの住人は、犬の姿は見えないし、声も小さくなって満足でした。
それでも、となりの住人は、してやったりというような顔をするだけで、
その後も、ずっとお互いの関係は悪くなったままでした。
おばあさんが犬を家の中で飼いだして、一週間ぐらいしてのこと、
となりの家に警官がやって来ました。
帰りがけに、おばあさんはそっと警官に「どうしたのか?」と聞きました。
すると、「となりに泥棒が入って、被害にあった」ということでした。
おばあさんは、それを聞いて恐くなりました。
泥棒や強盗がやって来てはと思い、また犬を庭で飼うことにしました。
でも、となりの住人からは、犬がうるさいとは言ってこなくなりました。
自分の嫌がっていた犬が、実はおばあさんの家の番犬ばかりか、
自分の家の番犬にもなっていたことがわかったからです。
参考動画:口演童話「番犬」
ガード下の犬ラン―ホームレスとさみしさを分かち合った犬
関 朝之 (著), はせがわ いさお (イラスト)
東京都墨田区、いつものガード下で、今日もなけなしのごはんを分けあう1人と1匹。しかし、ある晩とんでもないことが起こったのです。「ホームレス狩り」-後に人々はその事件をそう呼ぶようになりました…。
単行本: 143ページ
出版社: ハート出版 (2003/2/2)
商品パッケージの寸法: 21.2 x 2 x 15.2 cm
口演童話