ジョークボックス
漫才「初夢」
「初夢って知ってるかい」
「知ってるよ。初めて見る夢のことだね」
「そうだよ。で君の初夢は何だった?」
「それが、今日見たんだけど、忘れてしまった。先週のでもいい?」
「先週って、初夢の時期は過ぎてるよ」
「時期?」
「週のはじめに見るのが初夢じゃなくて、年のはじめに見る夢だよ」
「それなら、もう忘れているよ。正月のことは食っちゃ寝食っちゃ寝の毎日だったから、いくつ初夢を見たのかさえ覚えていない」
「そんなんだから、日頃からツキに見放されているんだ。初夢はその年の吉凶を占う夢合わせなんだぞ」
「夢合わせって?」
「夢占いのことだよ。悪い夢なら、今年は何事も慎重に注意して過ごそうと思うだろう。そうすると事故にも合わずツキが取り戻せるんだ」
「そういうもんかねえ」
「最近君はついていないだろう。飼っている猫にひっかかれるわ、外で犬に吠えられて、転んだだろう。オマケに犬の糞を手で掴んでしまって」
「犬の飼い主のマナーが悪いんだ。俺は悪くない」
「猫のひっかき傷はなんだ。飼い主のお前が悪いんだろう。悪くないよ。餌をやるのをじらせたぐらいで怒るんだから」
「そらみろ。動物虐待をしているから、仕返しされるんだ。夢に化け猫がでてくるぞ」
「ひょっとすると、今年の初夢は化け猫だったのかもしれない」
「もし化け猫だったら、猫に注意して、猫は大事にしようと思うだろう。それが夢占いだ」
「夢に気をつけるよ。来年のために初夢のことちゃんと教えておいてよ」
「初夢というのはね、その年の元旦か2日の夜に見る夢のこと。もし見なかったら3日ぐらいまでかな」
「3日まで見なかったら、お先真っ暗闇。その年は地獄だね。おお恐」
「そうでもないよ。夢というのは見てもすぐに忘れることが多いので、一年中楽しいかもしれない」
「それでどんな夢を見ればいいんだい」
「昔からよく言われるのが、『一富士二鷹三茄子』が、縁起が良いとされている」
「一船、二高波、さらわれた? 縁起がわるそうだね。船に乗っていたら、高波が来てさらわれたなんて」
「違う。一富士」
「一船」
「一富士。いちばんいいのは、富士」
「フジテレビ」
「そうじゃない。いやいやフジテレビはいいところ。富士というのは富士山のこと。いちばんいいのは富士山の夢。次が一富士二鷹」
「一富士二タコ」
「タコじゃない」
「正月に凧上げしたことあるよ。空の凧は富士山に負けないくらい悠然としている」
「凧じゃなくて、鷹」
「肩?五十肩?」
「鷹だよ。凧より高く飛ぶ鳥の鷹だよ」
「高いものがいいみたいだね」
「3つ目が一富士、二鷹、三茄子」
「ナスビ? 嘘でしょう。一気に格が下がるね。あっそうか。不作のナスビだね」
「どうして」
「品薄でスーパーのナスビが高くなる。高いものは高級だ。だから『一富士二鷹三茄子』って言うことか」
「君の初夢はそういうことにしておこう。実は諸説あって『一富士二鷹三茄子』の一つに、何か大きなことを成し遂げるとき、富士は無事、高き望み、成すという縁起から来ている」
「ということは、初夢が富士山ならM1優勝、鷹なら準優勝、ナスビなら敗者復活で勝ち上がる」
「まあまあそういうことだな」
「初夢のことはわかったけれど、どんな夢を見たかなんて、目が覚めたらすぐ忘れるぞ」
「そうだな。忘れないように目を覚ますというのはどうだ」
「どうするんだよ」
「君が夢を見ているときに、ぼくがそばにいて起こすよ」
「そんなことできるの? 一度やってみて」
「ぐーぐーすやすや。もう少しで初日の出が見られるぞ」
「もしや山でも登っているのかな」
「ぐーぐー。もうすぐ富士山の頂上だ」
「富士を見るというより、富士山そのものの夢。(バシッ)」
「痛い! 何するんだよ」
「今富士山の夢を見ていたよ」
「本当に? でも起こし方が痛いよ。痛くてどんな夢見ていたのか忘れたよ」
「ゴメンゴメン。初っ端に富士山がでてきたもんだから、興奮して強く叩いてしまった。次は興奮しないから。もう一度寝てみて」
「ぐーぐーすやすや。何、ウサギがいると」
「ウサギは初夢にでてこないぞ」
「ぐーぐー。そこの足軽、予に鷹を。それ! とってまいれ」
「殿様の鷹狩だ。おい、鷹の夢だぞ。(ゆすぶる)早く起きろ。兎が逃げるぞ。違う。鷹が逃げるぞ(しきりに揺さぶる)」
「何だ何だ。痛いよ。鞭打ちになるよ」
「今鷹の夢見ていたんだ。富士山逃したから、鷹を逃したらだめだと思って、つい興奮してしまって」
「もう少し優しい起こし方があるだろう。マジ痛いんだから」
「ぐーぐーすやすや」
「早! 寝付きがいいんだこいつ」
「ぐーぐー。正月は人が多いなあ。おお、ナスビの特売だ」
「絶好のチャンス。落ち着け落ち着け。叩くな、揺するな。そうだ(布団を引っ剥がす)」
「オーマイゴッド! 寒いよう」
「素っ裸で寝ているのか。みんなの前で失礼だよ。こっちが恥ずかしい。パンツぐらいはけよ」
「夢は儚いと言うじゃないか」
参考:漫才「初夢」の台本
ジョークボックス
漫才「初夢」
「初夢って知ってるかい」
「知ってるよ。初めて見る夢のことだね」
「そうだよ。で君の初夢は何だった?」
「それが、今日見たんだけど、忘れてしまった。先週のでもいい?」
「先週って、初夢の時期は過ぎてるよ」
「時期?」
「週のはじめに見るのが初夢じゃなくて、年のはじめに見る夢だよ」
「それなら、もう忘れているよ。正月のことは食っちゃ寝食っちゃ寝の毎日だったから、いくつ初夢を見たのかさえ覚えていない」
「そんなんだから、日頃からツキに見放されているんだ。初夢はその年の吉凶を占う夢合わせなんだぞ」
「夢合わせって?」
「夢占いのことだよ。悪い夢なら、今年は何事も慎重に注意して過ごそうと思うだろう。そうすると事故にも合わずツキが取り戻せるんだ」
「そういうもんかねえ」
「最近君はついていないだろう。飼っている猫にひっかかれるわ、外で犬に吠えられて、転んだだろう。オマケに犬の糞を手で掴んでしまって」
「犬の飼い主のマナーが悪いんだ。俺は悪くない」
「猫のひっかき傷はなんだ。飼い主のお前が悪いんだろう。悪くないよ。餌をやるのをじらせたぐらいで怒るんだから」
「そらみろ。動物虐待をしているから、仕返しされるんだ。夢に化け猫がでてくるぞ」
「ひょっとすると、今年の初夢は化け猫だったのかもしれない」
「もし化け猫だったら、猫に注意して、猫は大事にしようと思うだろう。それが夢占いだ」
「夢に気をつけるよ。来年のために初夢のことちゃんと教えておいてよ」
「初夢というのはね、その年の元旦か2日の夜に見る夢のこと。もし見なかったら3日ぐらいまでかな」
「3日まで見なかったら、お先真っ暗闇。その年は地獄だね。おお恐」
「そうでもないよ。夢というのは見てもすぐに忘れることが多いので、一年中楽しいかもしれない」
「それでどんな夢を見ればいいんだい」
「昔からよく言われるのが、『一富士二鷹三茄子』が、縁起が良いとされている」
「一船、二高波、さらわれた? 縁起がわるそうだね。船に乗っていたら、高波が来てさらわれたなんて」
「違う。一富士」
「一船」
「一富士。いちばんいいのは、富士」
「フジテレビ」
「そうじゃない。いやいやフジテレビはいいところ。富士というのは富士山のこと。いちばんいいのは富士山の夢。次が一富士二鷹」
「一富士二タコ」
「タコじゃない」
「正月に凧上げしたことあるよ。空の凧は富士山に負けないくらい悠然としている」
「凧じゃなくて、鷹」
「肩?五十肩?」
「鷹だよ。凧より高く飛ぶ鳥の鷹だよ」
「高いものがいいみたいだね」
「3つ目が一富士、二鷹、三茄子」
「ナスビ? 嘘でしょう。一気に格が下がるね。あっそうか。不作のナスビだね」
「どうして」
「品薄でスーパーのナスビが高くなる。高いものは高級だ。だから『一富士二鷹三茄子』って言うことか」
「君の初夢はそういうことにしておこう。実は諸説あって『一富士二鷹三茄子』の一つに、何か大きなことを成し遂げるとき、富士は無事、高き望み、成すという縁起から来ている」
「ということは、初夢が富士山ならM1優勝、鷹なら準優勝、ナスビなら敗者復活で勝ち上がる」
「まあまあそういうことだな」
「初夢のことはわかったけれど、どんな夢を見たかなんて、目が覚めたらすぐ忘れるぞ」
「そうだな。忘れないように目を覚ますというのはどうだ」
「どうするんだよ」
「君が夢を見ているときに、ぼくがそばにいて起こすよ」
「そんなことできるの? 一度やってみて」
「ぐーぐーすやすや。もう少しで初日の出が見られるぞ」
「もしや山でも登っているのかな」
「ぐーぐー。もうすぐ富士山の頂上だ」
「富士を見るというより、富士山そのものの夢。(バシッ)」
「痛い! 何するんだよ」
「今富士山の夢を見ていたよ」
「本当に? でも起こし方が痛いよ。痛くてどんな夢見ていたのか忘れたよ」
「ゴメンゴメン。初っ端に富士山がでてきたもんだから、興奮して強く叩いてしまった。次は興奮しないから。もう一度寝てみて」
「ぐーぐーすやすや。何、ウサギがいると」
「ウサギは初夢にでてこないぞ」
「ぐーぐー。そこの足軽、予に鷹を。それ! とってまいれ」
「殿様の鷹狩だ。おい、鷹の夢だぞ。(ゆすぶる)早く起きろ。兎が逃げるぞ。違う。鷹が逃げるぞ(しきりに揺さぶる)」
「何だ何だ。痛いよ。鞭打ちになるよ」
「今鷹の夢見ていたんだ。富士山逃したから、鷹を逃したらだめだと思って、つい興奮してしまって」
「もう少し優しい起こし方があるだろう。マジ痛いんだから」
「ぐーぐーすやすや」
「早! 寝付きがいいんだこいつ」
「ぐーぐー。正月は人が多いなあ。おお、ナスビの特売だ」
「絶好のチャンス。落ち着け落ち着け。叩くな、揺するな。そうだ(布団を引っ剥がす)」
「オーマイゴッド! 寒いよう」
「素っ裸で寝ているのか。みんなの前で失礼だよ。こっちが恥ずかしい。パンツぐらいはけよ」
「夢は儚いと言うじゃないか」
参考:漫才「初夢」の台本
ジョークボックス