ョークボックス「悪い子と記憶のテスト」
悪い子
「どうされましたか?」
「うちの子が言うことを聞かなくて困っているんです。素直な子になるよう育てたつもりなんですが、ますます悪い子になっていくようで心配です」
「そうですか。実際その子に会って見ないとわかりませんが、とりあえず、このアンケートに答えていただけますか。お子さんの普段の様子を問うだけのものですから、気軽に記入してください」
「はい」
「どうですか、お母さん。記入できましたか」
「は、はい。これでいいですか。記憶があいまいで・・」
「んーー・・」
「相当うちの子、悪いんですか」
「その逆です。特別ご心配するようなことはありません」
「じゃあ、うちの子は世間の子と一緒で、普通なんですね」
「むしろ、元気で素直に育っていると思います。いい子ですよ」
「では、なぜ私には悪い子に映るんですか?」
「それは、お母さんが悪いからです」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
記憶のテスト
「最近、ちょっと物忘れがひどくって」
「薬の副作用が強いのかもしれませんね。でも、薬をやめるわけにいきませんから。今度来たとき簡単な記憶のテストをしてみましょう。誰にもちょっとした物忘れというのはあります」
「それなら、心配はいらないですね」
「でも、頭を打ったときの後遺症かもしれませんし、薬のせいか、単なる物忘れか。次ぎ来たときまでテストの準備しておきますから」
「はい。では先生、よろしくお願いいたします」
1週間後、来院してみると、
「今日は、顔色もいいですし、調子がいいようですね。薬の量は、急に減らすと体がびっくりしますから、数ヶ月かけて、いやそれ以上になるかもしれませんが、徐々に減らしていくようにしましょう。じゃあ、今日はこれで終わりにしましょう。来週は祭日ですから、薬は2週間分ということで。では、お大事に」
「先生、テストは?」
「テスト? あっ! 私の方がひどいようです。今度来たとき、私のテストの結果教えますから」
ジョークボックスの記憶からの:「悪い子」、「記憶のテスト」
映画「明日の記憶」2006
出演: 渡辺謙, 樋口可南子, 坂口憲二, 吹石一恵, 水川あさみ ほか
監督: 堤幸彦
覚えていたものが次から次へと忘れていく。暗証番号をあっさり忘れ、パソコンの操作も忘れ、思い出して言おうとすると言葉に詰まる。覚えていた記憶の細胞が死んだからだ。思い出そうとする脳機能が働かない。それを否定できない状況にいることを認めなければしょうがない。そこからしかはじまらないと思うから。夫婦ということを見つめなおすには、いい映画だ。
ジョークボックス
悪い子
「どうされましたか?」
「うちの子が言うことを聞かなくて困っているんです。素直な子になるよう育てたつもりなんですが、ますます悪い子になっていくようで心配です」
「そうですか。実際その子に会って見ないとわかりませんが、とりあえず、このアンケートに答えていただけますか。お子さんの普段の様子を問うだけのものですから、気軽に記入してください」
「はい」
「どうですか、お母さん。記入できましたか」
「は、はい。これでいいですか。記憶があいまいで・・」
「んーー・・」
「相当うちの子、悪いんですか」
「その逆です。特別ご心配するようなことはありません」
「じゃあ、うちの子は世間の子と一緒で、普通なんですね」
「むしろ、元気で素直に育っていると思います。いい子ですよ」
「では、なぜ私には悪い子に映るんですか?」
「それは、お母さんが悪いからです」
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記憶のテスト
「最近、ちょっと物忘れがひどくって」
「薬の副作用が強いのかもしれませんね。でも、薬をやめるわけにいきませんから。今度来たとき簡単な記憶のテストをしてみましょう。誰にもちょっとした物忘れというのはあります」
「それなら、心配はいらないですね」
「でも、頭を打ったときの後遺症かもしれませんし、薬のせいか、単なる物忘れか。次ぎ来たときまでテストの準備しておきますから」
「はい。では先生、よろしくお願いいたします」
1週間後、来院してみると、
「今日は、顔色もいいですし、調子がいいようですね。薬の量は、急に減らすと体がびっくりしますから、数ヶ月かけて、いやそれ以上になるかもしれませんが、徐々に減らしていくようにしましょう。じゃあ、今日はこれで終わりにしましょう。来週は祭日ですから、薬は2週間分ということで。では、お大事に」
「先生、テストは?」
「テスト? あっ! 私の方がひどいようです。今度来たとき、私のテストの結果教えますから」
ジョークボックスの記憶からの:「悪い子」、「記憶のテスト」
映画「明日の記憶」2006
出演: 渡辺謙, 樋口可南子, 坂口憲二, 吹石一恵, 水川あさみ ほか
監督: 堤幸彦
覚えていたものが次から次へと忘れていく。暗証番号をあっさり忘れ、パソコンの操作も忘れ、思い出して言おうとすると言葉に詰まる。覚えていた記憶の細胞が死んだからだ。思い出そうとする脳機能が働かない。それを否定できない状況にいることを認めなければしょうがない。そこからしかはじまらないと思うから。夫婦ということを見つめなおすには、いい映画だ。
ジョークボックス