口演童話「松本へレッツゴー!」
東京に住んでいる私の家族は、パパとママ、お兄ちゃんと私の4人家族です。夏の思い出に旅行に行くことになりました。
旅行案内のショップに行くと、北アルプスのパンフレットの写真が私の目にとまりました。みんなも気に入ってくれて、パンフレットの載っている松本に行くことが決まりました。早速、言いだしっぺの私は松本市の下調べをして、準備をし始めました。
向こうでおいしいものが食べたいので調べていると、インターネットで検索していると「山賊焼き」が出てきて、何だか少し恐ろしくなってきました。山賊が出てきて家族みんなが食べられてしまったらどうしようと心配になりました。
このときまだ私は、山賊のことを山姥のようなものと思っていました。そんな気持ちでその夜眠ると、夢に松本市にいる私が出てきました。パンフレットの写真から飛び出してきた妖精が現れました。名前を聞くと「マー」と私の心に聞こえました。私はそのかわいいマーのことを、いつの間にか「マーちゃん」と呼んでいました。
マーちゃんは、いろいろ松本市のことを教えてくれました。山賊が山姥でないこと、その山賊が出てきて物を盗ったり命をとったりしないことも。それどころか町に流れる小川から、魚が飛び出して鯛焼きになって、おいしい鯛焼きが食べられるかもしれないこと。
朝、目を覚ましてそのことをお兄ちゃんに話すと、
「川から鯛焼きが飛び出してきたなんて、はじめて聞いた。いくら夢に出てきた妖精がはっきり言ったからって、信じられない」
と言うばかり。
ママに話すと、
「未来にタイムスリップしたのかもしれないわね。本当に松本にいくと夢みたいなことが起こるのかもしれないわよ」。
ママの言葉に少しなぐさめられましたが、お兄ちゃんは
「期待が大きいと、後から倍になってがっかりするぞ」
と私をいじめます。
パパに話すと、
「夢のようなことでも信じていると、現実に起こるものだ。ママの言うのも当たっているかもしれないよ。きっと松本の水はとっても澄んでいるので、魚が鯛焼きになるというような不思議なことも起こるんだ。それとマーちゃんだったかなあ。話す声が心に響いてくるようだというのも、松本の空気がすごく澄んでいるせいだよ」。
パパもかばってくれて私は安心しました。
その夜のこと、お兄ちゃんの夢の中にマーちゃんが現れました。次の朝、お兄ちゃんは自慢げに話すのでした。
「松本駅に着いたときマーちゃんが出迎えに来ていたよ。マーちゃんがママに近づいて、ツツジのブローチを胸につけるんだ。ぼくにはリンゴジュースを勧めてくれるし」。
お兄ちゃんは、まるでもう松本に行ってきたかのように話しました。
こんなおしゃべりなおにいちゃんを見るのは初めてでした。
「夢なのに松本のリンゴジュースは、マジおいしいんだ。ぼくたちを歓迎するためにマーちゃんは待っているんだ。帰りにマーちゃんが駅まで見送りに来ていて、ヴァイオリンで『ふるさと』の曲を弾いてくれたんだ」。
パパが言うには、
「マーちゃんはきっと松本をふるさとのように思って、また来てね」
と言いたかったのかもしれないだって。
家族の会話は、もう松本に行く日のことで毎日持ちきりでした。そして、松本への出発の朝がやってきました。その日の私たち家族の合言葉はわかっていました。「マーちゃんに会いに、松本へレッツゴー!」。
実は松本は、パパとママが新婚旅行に行った場所でした。「マーちゃん」は、パパがママを呼んでいた名前でした。パパとママにとっては、2回目の新婚旅行になったみたいです。私たちは二人の想い出につきあわされたみたいですが、何だかホッコリとした気持ちになって東京に帰っていました。
参考:松本へレッツゴー!
口演童話
東京に住んでいる私の家族は、パパとママ、お兄ちゃんと私の4人家族です。夏の思い出に旅行に行くことになりました。
旅行案内のショップに行くと、北アルプスのパンフレットの写真が私の目にとまりました。みんなも気に入ってくれて、パンフレットの載っている松本に行くことが決まりました。早速、言いだしっぺの私は松本市の下調べをして、準備をし始めました。
向こうでおいしいものが食べたいので調べていると、インターネットで検索していると「山賊焼き」が出てきて、何だか少し恐ろしくなってきました。山賊が出てきて家族みんなが食べられてしまったらどうしようと心配になりました。
このときまだ私は、山賊のことを山姥のようなものと思っていました。そんな気持ちでその夜眠ると、夢に松本市にいる私が出てきました。パンフレットの写真から飛び出してきた妖精が現れました。名前を聞くと「マー」と私の心に聞こえました。私はそのかわいいマーのことを、いつの間にか「マーちゃん」と呼んでいました。
マーちゃんは、いろいろ松本市のことを教えてくれました。山賊が山姥でないこと、その山賊が出てきて物を盗ったり命をとったりしないことも。それどころか町に流れる小川から、魚が飛び出して鯛焼きになって、おいしい鯛焼きが食べられるかもしれないこと。
朝、目を覚ましてそのことをお兄ちゃんに話すと、
「川から鯛焼きが飛び出してきたなんて、はじめて聞いた。いくら夢に出てきた妖精がはっきり言ったからって、信じられない」
と言うばかり。
ママに話すと、
「未来にタイムスリップしたのかもしれないわね。本当に松本にいくと夢みたいなことが起こるのかもしれないわよ」。
ママの言葉に少しなぐさめられましたが、お兄ちゃんは
「期待が大きいと、後から倍になってがっかりするぞ」
と私をいじめます。
パパに話すと、
「夢のようなことでも信じていると、現実に起こるものだ。ママの言うのも当たっているかもしれないよ。きっと松本の水はとっても澄んでいるので、魚が鯛焼きになるというような不思議なことも起こるんだ。それとマーちゃんだったかなあ。話す声が心に響いてくるようだというのも、松本の空気がすごく澄んでいるせいだよ」。
パパもかばってくれて私は安心しました。
その夜のこと、お兄ちゃんの夢の中にマーちゃんが現れました。次の朝、お兄ちゃんは自慢げに話すのでした。
「松本駅に着いたときマーちゃんが出迎えに来ていたよ。マーちゃんがママに近づいて、ツツジのブローチを胸につけるんだ。ぼくにはリンゴジュースを勧めてくれるし」。
お兄ちゃんは、まるでもう松本に行ってきたかのように話しました。
こんなおしゃべりなおにいちゃんを見るのは初めてでした。
「夢なのに松本のリンゴジュースは、マジおいしいんだ。ぼくたちを歓迎するためにマーちゃんは待っているんだ。帰りにマーちゃんが駅まで見送りに来ていて、ヴァイオリンで『ふるさと』の曲を弾いてくれたんだ」。
パパが言うには、
「マーちゃんはきっと松本をふるさとのように思って、また来てね」
と言いたかったのかもしれないだって。
家族の会話は、もう松本に行く日のことで毎日持ちきりでした。そして、松本への出発の朝がやってきました。その日の私たち家族の合言葉はわかっていました。「マーちゃんに会いに、松本へレッツゴー!」。
実は松本は、パパとママが新婚旅行に行った場所でした。「マーちゃん」は、パパがママを呼んでいた名前でした。パパとママにとっては、2回目の新婚旅行になったみたいです。私たちは二人の想い出につきあわされたみたいですが、何だかホッコリとした気持ちになって東京に帰っていました。
参考:松本へレッツゴー!
口演童話